腰痛の原因
よくある慢性痛の勘違い
腰痛で病院などにいくと
・腰椎すべり症(ようついすべりしょう)
・坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
・脊柱側わん症(せきちゅうそくわんしょう)
・脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
・急性腰痛症(ぎっくり腰)
・椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)
などなど
このような診断をされる事が多いかと思います。
そして診断名から腰が痛いのは
・骨格が歪んでいるから?
・関節がずれているから?
・神経が圧迫されているから?
・軟骨がすり減ってるから?
と思ってしまいますよね。
でも実は、骨や軟骨や神経には自体には痛覚がありません。骨・軟骨・神経からは痛みを感じません。ヘルニアによる神経の圧迫などは痛みの原因ではありません。
では、どこが痛みを感じる所なのか?
筋、腱、靭帯、膜と名前がついている部位が痛みを発する所になります。
これらの部位がダメージなどを受けた際に神経終末を刺激して脳に痛みとして伝わります。
よくある勘違いは骨格が歪んでいるから、関節がずれているから、神経が圧迫されているから、痛むのではなく、
筋肉が痛むほど筋肉が緊張している=筋肉が骨格に圧力をかけているから 骨格が歪んだり、関節がずれたり、神経が圧迫されたりします。
この緊張した筋肉を弛緩(緩める)できれば骨格の歪みや関節のズレ、神経の圧迫も改善されていきます。
これは腰痛に限らず首・肩・肘・股間・膝などの関節痛も同じ様な事が言えます。
筋肉はとってもデリケート
骨格筋は腱を介して骨と繋がっています。
その骨格筋の内部は筋束(筋繊維束)がいくつも集まっています。その筋束の中は筋繊維が束ねられており、筋繊維の直径は約0.15mm〜0.01mmの間でだいたい髪の毛ほどの太さになります。
筋繊維の一本の中には約9000本ものさらに細い筋源繊維が束ねられていて、筋原繊維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントという太さの異なるタンパク質が組み合わさってできています。
筋原繊維は筋小胞体というカルシウムイオンの貯蔵庫で囲われていて筋繊維や筋原繊維の隙間(間質)には間質液という液体が流れています。
このように筋肉は沢山の繊維が束ねられてできています。
筋肉が痛くなる原因を知るには筋肉の構造と仕組みを知っておくと理解しやすくなります。ここでは厳密かつ正確な表現より理解しやすさを優先してお伝えします。
骨格筋の構造
なぜ筋肉は凝って痛くなるの?
筋肉の収縮にはカルシウムイオンが使われます。
筋小胞体というカルシウムイオンの貯蔵庫があり、そこから筋繊維内にカルシウムイオンが放出されることにより筋原繊維が縮み筋肉が収縮します。
筋肉が緩む時はカルシウムポンプがカルシウムイオンを回収し貯蔵庫に戻す事で筋肉が緩みます。
筋小胞体(きんしょうほうたい)
カルシウムイオンの貯蔵庫。活動電位に応じでカルシウムイオンを出す。
筋原繊維(きんげんせんい)
一本の筋繊維の中に約9000本もある極細繊維。カルシウムイオンが放出されると縮む。
カルシウムポンプ
活動電位に応じでカルシウムイオンを回収する。
間質液(かんしつえき)
細胞周辺を取り巻く液体。
横行小管
信号を伝える電極の様なところ。
活動電位
筋肉を縮めろ、伸ばせと命令を伝える信号の様なもの。
筋肉が損傷し筋小胞体が壊れてしまうとカルシウムイオンが過剰に漏れ出してしまったり、カルシウムポンプの機能が低下しカルシウムイオンを回収できなくなってしまいます。
筋繊維に流れている間質液が過剰に溜まったカルシウムイオンによりゲル状(ゼリー状)になってしまいます。
カルシウムイオンが溜まり間質液がゲル状になると筋肉は過剰に緊張状態になり硬くなります。硬くなった筋肉は血管を押し潰し血行を悪化させてしまいます。
血行不良により酸欠になった細胞が「酸欠状態という信号」を送り、それによって血行を回復させるために血管を広げる作用がある「ブラジキニン」という物質が分泌されますが、そのブラジキニンが神経終末を刺激し痛みとして脳に伝わります。
これらが筋肉が凝ったところが痛む原因と考えられています。
ゆえに、筋肉を弛緩することができれば血行も回復し痛みも引いていきます。